6月1日午後、留学生センターにて、シンポジウム「環境・グローバリズム・メディア in Sapporo―市民メディア・オルタナティブメディアはG8で何ができる」を行いました。
【G8市民メディアセンター札幌の市民記者リポート】
オルタナティブメディアとは何か。それは、少数派の意見を拾うメディアのことであり、マスメディアと対比する。では、実際にどのような活動をしているのだろうか。そしてG8サミットでは何ができるのだろうか。一日に行われた国際シンポジウムでは、東アジアで活躍するオルタナティブメディアの方の活動内容を聞くことができた。そして、G8サミットにおいてのオルタナティブメディアの可能性を知るきっかけを与えてくれた。台湾・韓国にもオルタナティブメディアはいくつかあり、シンポジウムでは彼らの活動を、写真、映像から知ることができ、マスメディアでは見ることのできない各国の社会運動を見ることができた。 紹介してくれたのは、台湾から、劉光瑩さん(苦労網)とエム・ブラックさん(メディア・ウォッチ)、韓国からパク・ドヨンさん(メディア・カルチャー・アクション)の3名である。各オルタナティブメディアの活動内容は以下のようなものである。
苦労網―――労働者・原住民・農業など、マスメディアが見逃してしまう点をオルタナティブな視点で取り扱っている。主にインターネット配信が中心である。台湾のNGOをサポートする役割もしている。苦労網の将来の展望としては、NGOの活動をつなぐプラットホームを目指し、例えば、海外で苛酷な労働条件下にいる台湾人労働者に対し、団結を呼びかけ、雇用主や企業に対し環境改善を訴える、という活動をしている。
メディア・ウォッチ―――政府の人権侵害への抗議活動、苛酷な労働条件における労働者のデモなど、社会運動や活動をビデオに収め、データベース化する活動をしている。またデータベース化するだけではなく、実際にデモ活動をし、また運動の支援も行っている。メディア・ウォッチが発足した背景には、台湾のマスメディアの体制がある。台湾のマスメディアは政府がコントロールしており、社会運動や抗議の全容を取り扱うことがない。その社会背景から、2007年、メディア・ウォッチは‘インディペンデント’メディアとして発足した。G8サミットでは、反G8の活動をレポートし、オンラインで流す予定。
メディア・カルチャー・アクション――インターネット放送を中心に、労働者や障害者の生の声を届けるほか、韓国でおきる政治問題、戦争などの社会問題に対して、ただ報道するだけでなく、パフォーマンスや上映、イベントを通し、より多くの人にアピールし、関心をひきつけるような活動もしている。
シンポジウムでは、他に、日本のオルタナティブメディア「Indymedia Japan」のメンバー櫻田和也さんのお話もきくことができ、オルタナティブメディアの生まれたわけ、可能性と課題を知ることができた。
「自分たちのためだけに活動するのではなく、誰かのために活動をしたい」シンポジウム後に聞いた、パクさんが活動を始めた理由である。「誰かのために。」オルタナティブメディアの可能性の原動力をこの言葉に感じる。
※文中 インディペンデントメディアと表記したところは「マスメディア・組織などの権力からの独立したメディア」という強い意味を持ったところであり、オルタナティブメディアとは多少違う意味で表記した。
(磯部愛)